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| ペリー・ローダン |

Kugelshiff

Perry Rhodan-Heft Nr.1-1800
Der Erbe des Universums / 大宇宙を継ぐ者ペリー・ローダン


I テラナーたち

1. 太陽系帝国 / AD1971-3438 (1-499)

 ソル系テラの文明は紛争にあけくれていた。
 宇宙開発を契機としてアルコン人の大帝国から星間航法を入手したテラナーは、銀河系の諸勢力の脅威を前に〈第三勢力〉を核として連合。1990年には太陽系帝国を創始。星系外植民をすすめる。
 ドルーフ宇宙との接触を機にアルコン人の大帝国と平和条約を締結し、ポスビ侵攻に際しては、アルコン人、アコン人とともに、銀河連合を結成。2113年、銀河系の星間航行種族の共存体制を築きあげたかにみえた。
 だが、2百年後、銀河を喰いつくすスープラヘトの覚醒、銀河系イーストサイドのブルー人の帝国との戦争をきっかけに、各勢力は自立していく。銀河連合は2328年に崩壊。そして、銀河系最強の勢力へと発展した太陽系帝国は、25世紀前半の二つの銀河間紛争、すなわち、アンドロメダ銀河の〈島の王〉たちとの戦い、両マゼラン星雲とM-87銀河の諸勢力との対立を招来する。
 国力の疲弊と植民惑星の不満。
 千年後、テラナー植民圏は数百の利害グループに分裂していた。太陽系帝国はその中で孤立した一勢力。
 NGC4594銀河のカピン諸種族がもたらすテラの危機も、もはやかつてのような結束を生むことはない。

2. 不死者 / AD3438-3458 (500-649)

 3440年、〈知性播く星々の大群〉の襲来。
 この危機に対する対処をめぐり、不満の声があがる。3444年、太陽系帝国を創設時から指導してきた大執政官ペリー・ローダンは、深刻な政治危機をむかえた。
 旧ミュータントたち、惑星アスポルク、パラマグ人にかかわる一連の事件を解決することで、ローダンの実力はふたたび市民に認められる。だが、千年以上、テラナー文明を守り育ててきたローダンと、アルコン人アトランをはじめとする友たちは、自分たちの半生をみなおす時期がきていることを知った。

*

 そもそもの発端は、テラの月に不時着したアルコンの探査船。ローダンはテラナー最初の月宇宙船の船長としてアルコン人に出会い、テラの諸勢力の争いを調停し、人々の目を大宇宙に向けさせた。
 そして、精神集合体〈それ〉を探索。「大宇宙の後継者」とみとめられて、2万年の援助を約束され、老化を阻止する細胞活性装置の恩恵をうけることにもなった。
 アルコンからもたらされた技術と人類の誇り、〈それ〉の支援、超能力をもつミュータントたちの力を元手に、ここまできた。
 しかし、思いかえせば、何をなしとげたというのだろう?
 テラナーの生存圏は拡大し、視野もまたひろがった。太古テラのレムール人とM-87銀河に発するハルト人たちの5万年の歴史を知った。20万年前と現在、テラにかかわったカピンを友とした。だが、テラナーの子孫たちは分裂していがみあい、銀河系の種族たちとともに抗争をつづけている。

*

 3456年、〈それ〉がポジティブとネガティヴのふたつの精神集合体に分裂。ローダンはポジティブな〈それ〉の駒として宇宙規模の対局を戦う。〈反それ〉の駒、平行宇宙の独裁者ローダンIIとの対決。さらにつづく対局の中で、肉体さえない脳だけの姿で、ナウパウム銀河とカトロン銀河で孤立無縁の戦いを強いられるローダンは、自分の半生もまた一連の対局、試練であるかもしれない、と気づく。
 3458年、ローダンは生還し、ポジティブな〈それ〉は勝利する。しかし、その意味は?

*

 銀河系に諸種族共存の道をひらこうとしたローダン。
 だが、理想の実現はひととき。銀河系はふたたび不穏な時代をむかえ、みずから育てあげたテラナーからも離反する者たちがあらわれた。とはいえ、力に頼るばかりでは、あの平行宇宙の独裁者ローダンIIと同じこと。
 ローダンは自分の存在意義を問いかける。
 アンドロメダ銀河で出会った〈光の守護者〉テングリ・レトス。〈大群〉と、その監視者を自認するキトマ。カトロン銀河の〈時の泉〉からあらわれた、〈時知らざる者〉カリブソ。
 宇宙規模の使命を暗示する永遠なるものたちが、やがて、ローダンを導く。
 だが、答えにいたるまでには、さらに多くの苦しみが待つ。
 それは、まず、太陽系帝国の滅亡からはじまった……。


II 宇宙

1. 滅亡 / AD3459-3460 (650-699)

 複数銀河を版図とする七種族の公会議が銀河系に侵攻。ローダンに銀河系の独裁者の地位を約束し、銀河系の武力統一を指示する。
 ローダンは、強大な公会議の戦力を前に、母星系からの撤退を余儀なくされた。
 銀河系中心部の暗黒星雲プロヴコン・ファウストは、エネルギー渦乱流に守られた天然の要塞。人類は暗黒星雲への撤退を開始し、テラとルナを転送しようとする。だが、人類の母星がローダンとともに実体化したのは、ポジション不明の宙域、ふたつの銀河のあいだにのびた特異な物質渦流の中だった。
 3460年、テラとローダンを失った銀河系は、プロヴコン・ファウストに潜伏したアトランを中核として、絶望的なゲリラ戦を展開していく。
 一方、ローダンは、物質渦流の恒星メダリオンの公転軌道に、テラとルナを安定させることに成功した。そして、80年……。

2. 喪失 / AD3580-3583 (700-799)

 3540年、異郷のテラで革命が勃発する。
 恒星メダリオンの高次放射は人類の精神構造を変容させていた。アフィリー(愛情・感情からの解放)により純粋理性の存在に進化したと信じるテラ市民は、ローダンたち免疫者を遠距離宇宙船《ソル》で追放する。
 ローダンは《ソル》とともに公会議の謎を解き、銀河系をめざす。一方、銀河系では、アトランがひきいるゲリラ組織、新アインシュタイン帝国が、公会議と戦うための汎種族組織銀河種族尊厳連合(ガフェク)を結成していた。
 《ソル》が到着したとき、銀河系解放計画をめぐって、ローダンとアトランは対立する。そして、不毛な対立の果てに、ふたりは、銀河系がすでに自分たちを必要としていないことを知る。
 ローダンとアトランは銀河系解放をガフェクにゆだね、《ソル》でテラを目指す。だが、《ソル》が物質渦流に到着したとき、テラは消えていた。
 《ソル》は、物質渦流の転送特異点〈喉〉に落下したというメダリオン系を探索する。そして、いつしか超知性体〈テルムの女帝〉の勢力版図に踏みこんでいく。
 そのころ、ローダンの旧友アラスカ・シェーデレーアは、かつて〈大群〉で入手した殲滅服の本来の持主、カリブソに出会う。カリブソが用いる時の泉は、〈大群〉を監視するための移動手段。使用を許されたアラスカは、超知性体バルディオクの勢力版図に再物質化したテラにひとり到達し、そこが無人であることを知る。
 2百億の人類は転送の際、〈それ〉に吸収されて消えたという。

*

 ローダンは守るべき故郷と人々を失った。
 銀河系ではガフェクが、新しい秩序を築くだろう。《ソル》はそこに生まれてソラナーを自称する人々の故郷であり、やがて別の道を行く。テラにはもはや住む者もない。
 人類の指導者、ローダンの道はここに終わる。その代償として、ローダンは〈知性播く星々の大群〉と時知らざる者たちの謎を解くことになる……。

3. 超知性体 / AD3582-3586 (800-867)

 超知性体と呼ばれるものたちがいる。〈力の球形体〉と称するそれぞれの勢力版図をおさめる超存在たち。
 テルムの女帝、バルディオク、そして、〈それ〉……。
 テルムの女帝は、惑星を包む生きたクリスタルのネットワーク。力の球形体の拡大過程で、隣接する力の球形体のバルディオクと接触し、対立関係にあるという。
 《ソル》はテルムの女帝からメダリオンのポジションを入手。奪回したテラとルナを、〈それ〉の助力で故郷のソル系へと転送する。
 バルディオクの正体は、惑星の生態系と結合したひとつの脳。
 かつて、カリブソとおなじ時知らざる者のひとりだったバルディオクは、4百万年前、犯した罪への罰として、脳を摘出され流刑に処された。高次存在に委託された永劫の任務に対する不安から、バルディオクは、船を盗み、〈大群〉のコントロールを失わせ、殲滅服を奪うことでカリブソの放浪の原因をつくったという。
 ローダンは、バルディオクの脳をテルムの女帝の惑星に移送し、融合させることで、対立を終結させる。
 そのころ、公会議が撤退した銀河系では、テラへの再入植がすすみ、統治機構として自由テラナー連盟が発足していた。
 再開発のなかで、テラに埋もれていた〈パン・タウ・ラ〉の石版が発見され、ギリシア神話の女神デメテルが人工冬眠から目覚める。デメテルは、失われた〈眼〉の捜索コマンドとして古代テラに漂着したヴィング人。
 〈それ〉がテラナーに命ずる。石版のデータにより、せまりくる危機の元凶、《パン・タウ・ラ》を捜索せよ。捜索のための遠距離宇宙船はすでにルナにある。物質渦流の人類が最後に〈それ〉に抗戦する目的で建造した巨大宇宙船《バジス》。
 一方、《ソル》も探索を開始する。
 バルディオクが暗示する危機の温床は、かつてバルディオクが盗んだ胞子船《パン・タウ・ラ》。そこに待つのは、左眼を奪われたロボット、ライレ。

*

 七人の時知らざる者たち、または、〈力強き者〉たちの使命は、七基の〈宇宙の城〉を拠点として七隻の胞子船で生命を播種すること、〈知性播く星々の大群〉を建造して知性の発達を促進すること。
 コスモクラートとよばれる高次存在たちが、〈物質の泉〉の彼岸から、ライレを通じて指揮をとる。
 かつて〈それ〉と〈反それ〉の対局の審判をつとめたのもまた、コスモクラート。

*

 3586年、〈それ〉は消息を絶った。仇敵の罠にはまって……。

4. 播種 / AD3586 (868-899)

 デメテルの故郷アルグストゲルマート銀河で、《ソル》と《バジス》は合流し、《パン・タウ・ラ》でライレと出会っていた。
 一方、ガフェクによる諸種族の共存体制が築かれつつある銀河系で、ローヴァーがあらわれ隠した〈眼〉を回収する。
 ローヴァーは、バルディオクたちの前任機構カタラクのもとで〈大群〉を建造した種族。コスモクラートがみずからの運命に介入することを怖れるがゆえに、反旗をひるがえし、物質の泉を通過する機能をもつライレの左眼を奪った。任務を遂行できないライレは、以来、ヴィング人を利用して捜索を続けてきたという。
 〈眼〉は宇宙の城の7基の鍵をあわせてはじめて、銀河系にほど近いエランテルノーレ銀河の物質の泉に通路をひらく。
 いまローヴァーはエランテルノーレ銀河の物質の泉を発見し、宇宙の城の探索を開始した。

*

 ローダンたちもまた、宇宙震を停止させるため、エランテルノーレ銀河におもむかねばならない……。

5. 後継者 / AD3586-3587 (900-999)

 《ソル》は別の道を選択した。
 《バジス》のローダンとアトランは、ライレ、ローヴァーとともに、エランテルノーレ銀河の宇宙の城を捜索する。
 恐れていた災厄、すなわち、エランテルノーレ銀河の物質の泉を震源とする宇宙震が発生する。
 鍵をあわせた完全な〈眼〉を手にいれ、物質の泉のコントロールに成功する。また、その途上、物質の泉の対極、〈物質の沼〉で、ローダンは閉じこめられた〈それ〉を救出する。
 ローヴァーは本来のたどるべき道を求めて去った。アトランは人類の代表として、ライレとともに物質の泉の彼岸におもむき、ローダンは《バジス》とともに銀河系に帰郷する。

*

 〈それ〉は、最後の〈深淵の騎士〉の危機を知らされ、救援におもむいたという。
「もし最後の深淵の騎士が死んだなら、すべての星々は消え去るだろう」という太古の伝説を信じ、仇敵の罠にはまった、と。
 いま、〈それ〉が不在の力の球形体、すなわち、銀河系とアンドロメダ銀河を含む局所銀河群は、危機にさらされている。
 〈それ〉の仇敵ゼト・アポフィスの罠が、深淵の騎士団を創設したハトル人の最後のひとり、レトスを捕える。プロヴコン・ファウストで太古の深淵の騎士が用意した高次元の防壁が作動。深淵の騎士がプログラムした人工生命の艦隊が、宇宙震を敵の攻撃とみなし、人類を敵と誤認して最後通牒をつきつける。さらに、宇宙震の第二波は、眠っていた太古の侵略者をも目覚めさせた。
 事態を収拾したのは、80万年前に防衛をはたした深淵の騎士を継ぐ、テラナー、イェン・サリク。

*

 3587年末、帰郷したローダンはサリクと会った。
 時知らざる者たち、深淵の騎士団……かつて宇宙的使命をはたしていた組織はすでにない。
 だが、サリクとともに、ローダンもまた、深淵の騎士の素質を認められた。
 そして、知るものはないが、ローダンとアトランにあたえられた細胞活性装置は、コスモクラートが特に調整したもの。
 すなわち、大宇宙を継ぐのは、かれら……。


III 使命

1. 究極の謎 / NGZ424-426 (1000-1099)

 物質の泉に発したエネルギーは物質、生命、知性体をへて超知性体へと進化する。力の球形体でポジティヴな力が優勢であるかぎり、超知性体はいつか物質の泉を形成し、さらにコスモクラートへと進化の道を歩むはず。だが、力の球形体が崩壊したとき、そこにはあの物質の沼が生まれる。
 3588年、ローダンは大宇宙に生命を育みつづけるシステムの全貌を知らされた。
 物質の沼になろうとしている超知性体ゼト・アポフィスが、〈それ〉の力の球形体のポジティヴな構成要素を求めて、必死になっていることも。
 ローダンの使命のひとつは、〈それ〉の力の球形体を守ること。
 この年は新銀河歴元年となった。
 ローダンが創設した宇宙ハンザ同盟は、銀河間通商組織として、ゼト・アポフィスに対する防壁として、機能をはじめる。
 ローダンの使命のもうひとつは、人類と銀河系の諸種族の前に、超知性体への進化の道をひらくこと。

*

 NGZ424年、かつての深淵の騎士団の拠点銀河ノルガン・テュアから帰還したサリクは、ヴィールス・インペリウムの復元計画を語る。
 ヴィールスはすべて太古の超コンピューター、ヴィールス・インペリウムの構成素子。騎士団に伝わる究極の三つの謎を解明するために再建が進められている。この謎の解明は、深淵の騎士を継ぐローダンたちの課題でもある。
 究極の三つの謎とは、

 ローダンは、ノルガン・テュア銀河をおとずれ、騎士団の前任者種族ポルライターの所在を知る。
 銀河系の球状星団M-3に隠遁したポルライターは、220万年前、銀河を次々に破壊していたフロストルービンを封印した。この封印を、いまにも破壊しようとするゼト・アポフィスの補助種族たちが発見される。
 ゼト・アポフィスと〈それ〉の勢力版図のあいだに緩衝勢力を建設していたアトランが《ソル》とともに帰還する。《バジス》を旗艦とし、《ソル》をくわえた銀河系艦隊がフロストルービン宙域にむかった。
 NGZ426年、フロストルービン宙域で、ゼト・アポフィスの補助種族、銀河系艦隊、そして、突如としてあらわれた巨大な艦隊が対峙する。

2. コスモヌクレオチド / NGZ426-427 (1100-1199)

 フロストルービン宙域で具象化存在としてあらわれたコスモクラート・タウレクは、フロストルービンとゼト・アポフィスのかかわりを語る。
 フロストルービンは、宇宙に物理法則を供給する役割を担っていた巨大なプシオン塊。かつて、変調をきたして放浪をはじめ、いくつもの銀河を破壊した。
 ゼト・アポフィスとは、放浪するフロストルービン内部に搾取した意識断片を貯蔵することで発展してきた超知性体。
 あらわれた巨大な艦隊は、かつて正しく機能していたころのフロストルービンを守護する役目を担っていた。今の目的は、フロストルービンを探索し、本来の在所に帰還させること。
 巨大艦隊と銀河系艦隊はゼト・アポフィスの拠点であるM-82銀河に到達。三巴の戦いの結果、超知性体ゼト・アポフィスは消滅し、ローダンは巨大艦隊の指揮権を手にいれた。

*

 一方、完成したヴィールス・インペリウムが地球に向かう。
 太古、コスモクラート・ヴィシュナはこの超コンピュータの能力を欲して合体し、結果として、ヴィールスとともに宇宙に四散させられた。ヴィールス・インペリウムの再建は反逆者ヴィシュナの目覚めをも意味していた。
 一時はテラを攻略したヴィシュナは、タウレクの介入で、モラルコード修復をめぐる混沌の勢力との戦いに、ともに臨むことになる。
 フロストルービンはコスモヌクレオチド。
 全宇宙をめぐる壮大なコスモヌクレオチドの二重螺旋構造こそが、モラルコード、または、無限艦隊とよばれるもの。
 宇宙開闢以来、秩序の勢力コスモクラートと混沌の勢力カオタークは、モラルコードの存亡をかけて戦ってきた。
 いま、混沌の勢力に組する精神集合体ヴ・アウペルティアは、フロストルービン帰還計画のかなめ、クロノフォシルの効力を失わせるため、局所銀河群に介入する。

*

 クロノフォシルとは、ローダンが局所銀河群に残した足跡。
 平和をもたらし、未来への希望をもたらした歴史の成果。
 プシオンとは、生命力と精神力の超空間へのあらわれ。ポジティブに繁栄する文明のあるところ、プシオンの正のポテンシャルも増大する。すなわち、ローダンの業績は、〈それ〉の力の球形体でポジティブなプシオンのネットワークを構成している。
 島の王たちの独裁を脱したアンドロメダ。生命への異常な憎悪から脱したポスビの二百の太陽の星。けだものとウレブから解放された両マゼラン星雲。長い闘争の歴史のすえに銀河系の共同体に加入したブルー族の銀河系イーストサイド。テラ。〈それ〉の力の球形体の中心惑星エデンII。
 ローダンが巨大な守護艦隊をひきいてクロノフォシルをめぐり活性化していくことで、宇宙のプシオンネットワークにポジティヴな衝撃が伝播し、フロストルービンを修復するという。
 NGZ427年、宇宙史上最大級の艦隊は局所銀河群に針路をとった……。

3. クロノフォシル / NGZ427-430 (1200-1299)

 ローダンと巨大な守護艦隊はクロノフォシルをめぐる。
 その進路をさまたげる精神集合体ヴ・アウペルティアの起源は、〈負の球体〉に魅せられた種族。負の球体とは、コスモヌクレオチドをなくしたために、物理法則の欠如した混沌の宙域。
 アトランとサリクはフロストルービンの本来の所在地、宇宙をとりまく超空間の深淵におもむく。
 太古、コスモクラートの委託をうけた時空エンジニア種族が、ここに深淵の地を建設。住まわせた幾十億の種族の生命と精神の配置によってフロストルービンの代替物を創造しようとして、失敗した。
 原因は、モラルコード設置以前の、秩序にも混沌にも属さない、影とよばれる深淵の法則。

*

 この宇宙に物理法則を与え、生命と知性をいまあるかたちで可能とするシステムを、何者かが設置した。究極の第三の謎は、おそらく、こう読みかえられる。

 アトランは自問する。
 時空エンジニア種族と幾多の種族は無謀な任務に全力をそそぎ、深淵の影の感化力に呑みこまれた。フロストルービンの帰還は、すなわち、影の生命に変化した多くの者たちの犠牲を意味する。この顛末を予見することはできなかったのか?
 ローダンも思いをめぐらす。
 コスモクラートの協力者として活動すること、銀河系諸種族の前に超知性体への進化の道をひらくことが、この4百年間の目的。
 だが、ここまできて見たものは?
 かつて、ヴ・アウペルティア種族はコスモクラートの命により派遣され、負の球体によって超知性体へと進化する誘惑に負けたのだという。そして、エデンIIの決戦で、ヴィシュナの具象化のひとり――ローダンの子を宿した――に敗れ、進化の階段を転げおち、消滅した。
 いくつもの種族の悲惨な運命を思い出す。数百万年も放浪をつづけたローヴァー。衰退した超種族ポルライター。
 ローダンは自分の半生をかけて築きあげたクロノフォシルをもちいて、モラルコード修復の偉業をなしとげる。
 だが、ローダンの心には、疑惑がふくらみ、むなしさが広がっていった。
 この道をこのまま歩いていくのか?
 秩序と混沌と影、さらにあらわれた無の勢力の思惑の交差するなかで、ついにフロストルービンを深淵にむかえいれたローダンは、その刹那、ひとつのヴィジョンを見た。究極の第三の謎の解答が、とるにたりない自分の手のとどくところにある。コスモクラートでさえ知らない最後の謎のこたえ。
 だが、ローダンはとっさに拒絶する。「いやだ、わたしは知りたくない!」と。
 フロストルービン修復の任をはたしたローダン、アトラン、サリクたちはコスモクラートと袂別した。
 コスモクラートから追放者の烙印をおされたかれらの目的地は、力の球形体エスタルトゥ。そこには、コスモクラートにも混沌にも属さない第三の道があるという。

*

 このころ、銀河系にあらわれたエスタルトゥの使者は、おとめ座銀河団にある力の球形体の奇蹟を語り、通商路をひらき、第三の道を布教する。
 すべてが常識をこえた侵略であると気づいたとき、すでに、銀河系はエスタルトゥの永遠の戦士たちに支配されていた。
 力の球形体エスタルトゥにおもむいた人々は、超知性体エスタルトゥが5万年前に失踪していることを知る。ここではいま、永遠の戦士たちの帝国と反体制活動をつづける網を歩む者たちが、ともに異なる第三の道を主張し、争っている。
 NGZ429年、ローダンとアトランは網を歩む者の一員として参戦する。
 力の球形体エスタルトゥを解放し、銀河系を解放するために。
 そして、エスタルトゥには、銀河系をふくむ直径5千万光年の宙域を管轄するコスモヌクレオチド、ドリフェルがある……。

4. 第三の道 / NGZ445-447 (1300-1349)

 かつてバルディオクたちのもとで〈大群〉を建造した種族たちが精神集合体となり、クエリオン人となのった。
 一時的に肉体をもって活動するクエリオン人に、ローダンたちは、幾度もであっていた。
 すなわち、スープラヘトから銀河系を守ったバルコン人。あるいは、〈大群〉の監視者キュトマ。
 力の球形体エスタルトゥに介入したクエリオン人は、永遠の戦士たちの帝国がドリフェルにおよぼす影響を憂慮し、網を歩む者たちの組織を創設した。すでに5万年前、ドリフェルは変調をきたしていたという。
 秩序にも混沌にも属さず、自由意志で宇宙のために活動することが、クエリオン人の第三の道。

*

 NGZ445年、ドリフェルを抜けてあらわれた異宇宙の巨船が、超知性体エスタルトゥの消息を告げた。
 ドリフェルの対岸は異宇宙タルカン。5万年前、超知性体エスタルトゥはタルカンからの救難信号をうけ、旅立ったという。
 タルカン宇宙を支配する組織ヘクサメロンは、自然の宇宙収縮過程を促進し、宇宙の再創造にみずからの精神を反映させようとしている。だが、ヘクサメロンの計画は、多くの生命の抑圧と理不尽な死を意味する。
 エスタルトゥは、タルカン宇宙の銀河ハンガイを転送する計画を立てた。
 5万年前のドリフェルの変調は、準備のために転送された1隻の巨船によるもの。
 やがて、ハンガイ銀河の星々がドリフェルを経由し、局所銀河群に実体化する……。

5. 結末 / NGZ447-449 (1350-1399)

 超知性体エスタルトゥの帰還を目前にして、永遠の戦士たちの帝国は崩壊していく。クエリオン人も、網を歩む者たちの組織の解散を宣言する。
 ローダンは、混沌の勢力にあやつられる、タルカン宇宙のヘクサメロンと戦い、〈それ〉が求めるままに、銀河転送計画を支援し、エスタルトゥを帰還させる。
 なすべきことをした。それとも、利用された?
 コスモクラートの具象化である妻の資質を、娘もうけついでいる。そして、ローダンの細胞活性装置は〈それ〉からあたえられたもの。
 ローダンには、宇宙の高次勢力とかかわらずに生きることは許されない……。

*

 NGZ449年、ドリフェルはたびかさなる強引な操作の結果、ドリフェル・ショックとよばれる拒絶反応をおこした。直径5千万光年の管轄宙域全体に被害がひろがる。
 これが、〈それ〉とエスタルトゥ、そして、ローダンたちがなしとげたことの結果。
 その混乱のなか、銀河系に急行するローダンの船団は、突如として発生した停滞空間に捕われた。
 695年がすぎる……。


IV 運命

1. 当惑 / NGZ1143-1174 (1400-1599)

 NGZ1143年、船団は目覚め、見知らぬ宙域と化した局所銀河群をさまようことになる。
 ローダンとわずかな友人たちは、失った695年の歴史を追いもとめる。
 銀河系は、ドリフェルのもたらした混乱のなかで、カンターロとなのるサイボーグクローンによって封鎖され、緩慢な滅亡への道をたどっていた。
 ローダンはカンターロをあやつる支配者モノスを排除し、銀河系を解放する。
 モノスが創造した人工生命と諸種族がいりみだれる混沌の中で、すべてはもう一度、再建されねばならなかった。

*

 モノスは、ローダンの妻と娘を求めるコスモクラート・タウレクに派遣されたという。
 タウレクは物質の泉の彼岸に帰還するため、ふたりが必要。そして、タウレクとふたりが物質の泉の彼岸へと姿を消したときも、ローダンは手をこまねいて見ているよりほかなかった。

*

 NGZ1169年、かつてのタウレクの介入とドリフェル・ショックが〈それ〉に変調をもたらす。
 〈それ〉は、ローダンにあたえた2万年の期限がすぎたと宣言し、細胞活性装置の返還を要求する。次なる種族リング人が次代を担うのだ。
 やがて、物質の沼への変化をはじめたことがあきらかになる。
 ローダンは〈それ〉を救う。力の球形体に生きる者たちのために、また、みずからの生命のために。
 不死はわれわれのものではない。永遠でもない。
 ローダンと友たちは、あらためて〈それ〉から細胞活性装置を貸与される。あたえられた期限の残りは1万8000年。
 2千年を生きてきた男は遠く星々を見上げる。
 目的を見失いながら、それでも、ローダンはそこに生きる運命にある。

2. 彷徨 / NGZ1200-1220 (1600-1799)

 銀河系諸種族は、第三のコスモヌクレオチド〈ろ座A〉遠征という偉業をはたす。ドリフェル・ショックとモノスの支配がもたらした荒廃から、銀河系は確実に復興をとげていた。そして、一私人として復興にたずさわってきたローダン、アトランたち不死者の懸念をよそに、各勢力のあいだにふたたび反目が芽生えつつあった。
 新銀河暦1200年、超空間エネルギーの枯渇現象、デッドゾーンがたてつづけにソル系とM-13球状星団をみまう。超光速通信、超光速航行、主たるエネルギー源を奪われた文明は恐怖におびえる。同じくして、宇宙の地誌製作種族エノクスがあらわれる。あらゆるところに瞬間移動できるエノクスは、デッドゾーン内外の唯一の連絡手段として、救いの手をさしのべる一方、テラナーや他種族の文化、風俗の細部にまで詮索の手をのばす。
 やがて、テラナーたちは知る。かつて強大な勢力を誇りながら、エノクスの詮索に脅え、文明の滅亡を演出して姿を隠した種族アルコアナ。高度な技術をもつアルコアナは、エノクスを阻む高次元の防壁で避難先の星系を封鎖。このとき、近傍の銀河で、超空間が脆弱な宙域にデッドゾーンが発生したのだ。
 テラナーは、アルコアナとの交渉で、デッドゾーン危機を解決する。
 エノクスはいう――かみのけ座方向のヴォイドにエノクスの侵入を拒むなにかがある。そして、超知性体〈それ〉がヴォイドに消えた……。

*

 ローダンは知人たちに援助をあおぎ、老朽艦《バジス》によるヴォイドへの遠征隊を組織する。
 広大な虚空の奥深くで、遠征隊は、200万年前このヴォイドにあらわれた勢力と、深淵の騎士クヴィドルが組織した環ヴォイド連合のあいだの大戦の歴史を知る。かつてクヴィドルのオービターを務めたモイラと出会い、サンプラーとよばれる21の禁断惑星に隠されたクリスタル片をもちかえる。
 帰還した銀河系でおこなわれた実験で、クリスタルは生命体に変容した。クリスタル生命体はヴォイドに逃亡し、モイラに操作されて、サンプラーに封印されていた異宇宙への孔をひらく――モイラは、200万年前あらわれた異宇宙勢力の一員。そして、追跡するローダン指揮下の《バジス》第二次遠征隊もまた、異宇宙アレズムに転移させられる。

*

 この宇宙と表裏の関係にある宇宙、アレズムに危機がある。
 あらゆる生命を死滅させる〈死の放射〉をまきながら、結晶存在アプルーゼが通常の生命の版図を急速に覆っていく。モイラの種族アインディは、200万年前、新たな生存領域をもとめて異宇宙からヴォイドに両宇宙をむすぶ孔をひらき、この宇宙を防衛する深淵の騎士クヴィドルに撃退された。この宇宙の別の宙域にひらこうとした最後の孔も、他の深淵の騎士とポルライターの兵器に封印された。
 思いおこされるのはデッドゾーン――M-13球状星団はポルライターの兵器の実験場として、ソル系の火星は不安定なままの第22のサンプラーとして、超空間に損傷を被っていたのだ。
 異宇宙アレズムで、《バジス》出現がもたらした混乱は、一片のアプルーゼの結晶の侵入を許す。結晶はアインディの居住星系にひらいた孔をぬけ、たどりついたサンプラー――火星を死の放射をはなつ水晶の惑星に変え、ソル系と周辺宙域をおびやかす。
 死の放射の領域深くに侵入可能なローダンたち細胞活性装置所持者は、アプルーゼの中枢星団を破壊する。アインディはアレズム宇宙の惑星トロカンと火星を交換することで、ローダンたちの故郷宇宙を救う。
 〈それ〉の使者がローダンに語る。アレズムで生命播種の任をおびた7人の力強き者の反目が、あらゆる生命を滅ぼす星々の大群、アプルーゼを生んだ。〈それ〉は1200年前に吸収した200億のテラナーをアプルーゼ除去機構としてアレズムの各所に配置する。すなわち、アレズム宇宙の救済こそが、1200年前にその名のみが知られた〈完成のプラン〉なのだ。

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 ヴォイド第一次遠征隊が途上に遭遇した種族ハマメシュが、通商をもとめて銀河系にあらわれる。そして、ハマメシュの商品の影響下におかれた人材が次々と姿を消していく。
 アレズムからヴォイドを経由して帰還する《バジス》は、ハマメシュの銀河で、破損した巨大なシステム〈ゴマシュ・エンドレッデ〉の補修要員として使役される失踪者たちを発見する。
 巨大システムは力強き者アークトールによって構築された。そして、テラナーの協力をえて稼動し、1隻の胞子船を生み出す。船は、アプルーゼが除かれたアレズムに新しい生命を播種するために発進していく。
 銀河系に戻るローダンに〈それ〉は告げる。もう、わずらわすことはない。忘れられてしまうくらい長い期間、〈それ〉はローダンたちの前から姿を消すだろう、と。

*

 細胞活性装置所持者、ローダン、アトランと友人たちは帰郷した銀河系に混沌のきざしをみる。宇宙ハンザ同盟の瓦解。ギャラクティカムの形骸化。ドリフェル・ショックとモノス支配時代の傷が癒え、各種族はふたたび対立を深め、かつての不毛な時代を再現しようとしている。
 この流れの前で自分たちが無力であることを、不死者たちは経験から知っていた。
 そして、ローダンは友人たちとともに、銀河系の歴史から姿を消す。
 幾分かのあきらめと、期待をもって……。

3. 混迷 / NGZ1288- (1800-)

「〈無限への架け橋〉は、ペリー・ローダン、ただ、きみのためにある。
幾千の友が死に、幾百の惑星が滅ぶかもしれない。
しかし、どれほどの代価を支払うことになろうとも、きみは渡らねばならない。
ガローン人とヘリオートスの世界をめぐり、〈蜂窩〉の道を進むがいい。〈橋〉を歩む、そのことによって負う責任を自覚しながら……」
――新銀河暦1220年、サイバークローン、ヴォルタゴの予言

 かつて火星に隠された〈無限への架け橋〉の扉が、惑星トロカンで開かれる。
 〈橋〉を渡ったローダンは、多銀河連合トレゴンがテラナーを第六の構成種族に選任していたことを知る。時を同じくして、銀河系に襲来するトルカンダーの大艦隊――トレゴンの敵はテラナー殲滅のために、かつてトレゴンが封印した災厄を解放したのだという。
 荒廃する銀河系に実体化するトレゴンの贈り物〈ヘリオートスの堡塁〉――それは、テラナーを連合の一部とするための巨大な転送ステーション。
 そして、ローダンは事態の真相を求めてトレゴンの諸銀河をめぐる。混迷する故郷を思って異銀河の星々を見上げる。
 目的を見失いながら、それでも、ローダンはそこに生きる運命にある。


1998 produced by y.w / rlmdi.