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| ペリー・ローダン |

pc23

Sternenozean von Jamondi / ジャモンディの星海

from Rhodan-Heft Nr.2200-2239 & Perry Rhodan-Odyssee Taschenbuch
NGZ1331-1332年 / 銀河系の星海にて

プロローグ 10億年後
in der Zukunft

 ヴァーリゴ銀河――かつて銀河系と呼ばれた――の文明は衰退していた。
 10億年前、この宇宙に生命と知性が繁茂していた時代、超知性体と力の球形体の過密がむしろ新たな物質の泉の誕生を阻害する窮状を憂えたコスモクラートは、この宇宙を遊弋するすべての〈大群〉を停止し、さらにハイパー物理学的抵抗を増大させるという、強硬な手段にうったえた。ハイパー物理学的抵抗の増大は、生命と知性の進化を阻害し、高度技術の発展を抑制。さらに、コスモクラートは配下勢力に生命と文明の間引きを命じた。結果、この宇宙の全域で文明は停滞し、衰亡し、現在、ヴァーリゴ銀河では両生類・爬虫類たちのリニア船団がわずかに命脈をたもっていた。
 ある日、ヴァーリゴ銀河最高の英知をになう鳥類型種族タムブーの〈コル・モリアン〉科学結社は、銀河間の虚空で巨大宇宙船の残骸を発見する。
 巨大宇宙船を支配する破損したコスモクラートのロボット〈カイロル404号〉は、課せられた生命と文明の間引きの使命に倦み疲れ、太古にこの宇宙で生命と知性を播種した壮大なシステムの再生をもくろんだというのだ。ロボット〈カイロル404号〉から託された〈大群〉の設計図と〈大群〉を操作する補助種族の遺伝子バンク。〈コル・モリアン〉科学結社は驚喜した。ヴァーリゴ銀河の全種族の力を結集し、この宇宙にふたたび生命と知性を栄えさせるのだ。
 3万6000年の時間をかけて、計画は最終段階に入る。制御惑星バランスAとバランスB――太古に高度文明の栄えた惑星テラと火星――を組みこみ、〈大群〉が発進するのだ。
 しかし、問題があった。遺伝子バンクから誕生したヒューマノイド型種族ノドロン人が強大な軍事勢力に成長。その政権は、〈大群〉をヴァーリゴ銀河支配の道具にしようともくろんでいたのだ。
 このままでは、理想は泡と消える。
 〈コル・モリアン〉科学結社は、制御惑星バランスBで人為的にタイムスリップをひきおこし、10億年前の高度文明種族の一団を召喚すると、事態の収集を請願した。一団の指導者――10億年前の高度文明の指導者でもある――は、一握りの人員とともにノドロン人現政権を転覆させ、ノドロン人を本来の使命に目覚めさせた……。
 〈大群〉が旅立つ。この宇宙にふたたび生命と知性が繁茂する時代をとりもどすために。
 奇跡をなしとげた10億年前の人々が帰還する。〈コル・モリアン〉科学結社の主席科学者は語りかける――この世界は、あなたたちの可能性の未来なのだ……。

Perry Rhodan-Odyssee


 自由テラナー連盟政庁主席ペリー・ローダンは、新銀河暦1312年、〈最初のトレゴン〉で告げられた言葉を忘れていなかった――コスモクラートはこの宇宙のハイパー物理学的抵抗を増加した。効果は遠からず銀河系においても知られることになるだろう。
 自由テラナー連盟は、諸惑星の産業構造を自立型に転換していった。この政策の結果、経済は停滞し、財政は逼迫。ギャラクティカム諸種族は、ペリー・ローダンと自由テラナー連盟の愚行と嘲った。
 新銀河暦1329年6月、ペリー・ローダンは火星入植者の一団とともに、可能性の10億年後を体験する――営々として築き上げてきたすべてが失われ、停滞した未来を。
 新銀河暦1331年、コスモクラートがもたらしたハイパー物理学的抵抗増加の効果が銀河系におよぶ。ハイパー空間の変容は高次元エネルギーを攪乱し、かつてない規模のハイパー嵐が銀河系を覆う。
 ハイパー空間の「気圧」の単位は〈メガノン・スカラー〉――略称〈メグ〉。
 かつての銀河系では平均値27メグ、「悪天候」のときで50メグ。1246年3月の記録的ハイパー嵐〈スコルゴン・タイオン〉――アルコン語で〈ヴェールをまとう巨人〉――でも117.4メグ。だが、新銀河暦1331年以降、計器は日常的に50~80メグを観測していた。90から125メグでなければ、もう嵐とは呼ばれない。一時的とはいえ150メグを記録することもある。
 転送機は、正常な搬送を望めない。ハイパー空間から自由に汲み出していたエネルギーは枯渇し、莫大なエネルギーを要する機器は停止を余儀なくされた。メタグラヴ駆動も、エネルギー消費とホワルゴニウムの消耗が著しく実用に耐えない。シントロニクスは動作をやめた。リニア駆動系の効率も低下。超光速通信にも障害が目立ちはじめていた。


1 カンティラン
Kantiran

 アルコン帝国郊外の惑星に育ったカンティランは、テラナーのプロスペクターを父にアルコン人を母にもつ混血児。かれには非凡な才能があった。動物と意志疎通をはかり、あるいは動物を操ることができたのだ。
 新銀河暦1326年9月、カンティランの家の上空に1隻の帝国艦があらわれる。アルコン艦隊提督ヴィヴォ家のアスカリは、本人の当惑をよそにカンティランを惑星アルコンIの士官学校に入学させた。カンティランは厳しい訓練に耐え一人前のアルコン士官に成長する――だが、かれはやはり異端児。
 新銀河暦1331年春、ヴィヴォ家のアスカリの命令で強行された付帯脳活性化が失敗。カンティランは数ヶ月生死の境をさまよう。得たものは、思いがけない副次効果――カンティランの生来の才能は超能力の域に達していた。
 カンティランは疑念を抱く。なぜ、ヴィヴォ家のアスカリはここまで自分に執着するのか? カンティランは、アスカリの飼い猫を使い、みずからのデータを盗みだす。
 カンティランは知った。
 自分が、ヴィヴォ家のアスカリと自由テラナー連盟のペリー・ローダンの息子であること。アスカリとペリー・ローダンのロマンスも、カンティランの誕生も、すべてはアルコン帝国皇帝ボスティク1世が立案した遠大な自由テラナー連盟制圧計画――すなわち、永年の宿敵、自由テラナー連盟と政庁主席ペリー・ローダンを、息子とその母親が陣頭指揮するアルコン精鋭艦隊が無力化する――の一部であること。
 ヴィヴォ家のアスカリと対峙したカンティランは、衝動的に自分のペットをけしかけ、実母の顔に深い傷を負わせてしまう。かれは、唯一信頼できる友、獣医のマル・デタイルとともにアルコン帝国中枢星系から逃走。皇帝親衛隊員シャロワインの追跡をふりきり、たどりついた惑星テラで、カンティランは実父ペリー・ローダンと対面する。
 だが、父と子がたがいを知らずに過ごした歳月を埋める余裕はなかった。
 ハイパー嵐に加え、さらなる怪異が銀河系に生じたのだ。

Perry Rhodan-Heft 2200-2201


2 ジャモンディの星海
Sternenozean Jamondi

 アルコン帝国と自由テラナー連盟の永年の係争地ハヨク星団の近傍で、大規模な空間震動が観測される。急行した自由テラナー連盟発見者級戦艦《レイフ・エーリクソン》は、当該宙域には存在しないはずの小惑星群を発見する。小惑星のひとつには、未知文明の通信施設。
 やがて、同宙域で再度の空間振動。《レイフ・エーリクソン》は、異常現象を観測する。視認可能な天体はひとつもない。が、ハイパー物理学的には一星団が探知されるのだ。科学者マイルズ・カンターは、これを超空間に姿を隠した〈カモフラージュ星団〉であると看破。やがて、一個の惑星――命名カンタルス――が通常空間に物質化、仮説は証明された。〈カモフラージュ星団〉はハイパー繭とでもいうべきものに包まれて太古から超空間にあり、そのハイパー繭がハイパー物理学的抵抗の増大によってほころびはじめているのだ。
 騒然となる《レイフ・エーリクソン》に、超知性体〈それ〉の使者ロト・ケレーテが来訪する。ロト・ケレーテは、ハヨク星団のオールドタイマー遺跡から太古技術の産〈銀球〉を運んできた。〈銀球〉はあらゆる悪環境のなかで行動可能な技術装置。これを乗機として〈ジャモンディの星海〉すなわちあのハイパー繭の中へおもむこうという。
 ロト・ケレーテはペリー・ローダンとアトランの志願をうけいれ、〈銀球〉は発進する。

 〈銀球〉は、ハイパー繭突入時に炎上し、〈ジャモンディの星海〉の惑星バイカル・ケインに不時着する。〈銀球〉とロト・ケレーテは氷原に埋もれ、装備をなくしたペリー・ローダンとアトランは惑星上を放浪する。
 到着直後に見た夢――その中で、ふたりは青肌の女性にいざなわれ〈時知らざる神殿〉にたどりつく。
 現地民は語る――この地にかつて〈善の守護者〉と〈霊歩哨〉がいた。だが〈闇の守護者〉とキブが〈善の守護者〉を失墜させ、キブの眷属たるキブ・クラナーたちは今も〈霊歩哨〉の〈時知らざる亡命地〉を探索している。
 惑星バイカル・ケインの統治者キブ・クラナーは、ペリー・ローダンとアトランをヒューマノイド種族モタナと誤認して捕え、ハイパー水晶鉱山に送致する。ハイパー物理学的抵抗が増大した昨今、キブ・クラナーたちにとってハイパー水晶の増産は急務。歌声でハイパー水晶を共鳴させて掘り当てるモタナ族は、貴重な鉱山奴隷なのだ。
 ふたりは鉱山から逃走するが、逃げのびた先のモタナ族の集落も、キブ・クラナー奴隷狩部隊の襲撃をうける。
 ふたりは知った――モタナ族はかつて〈善の守護者〉のもとで〈ジャモンディの星海〉を統治した種族のひとつ。モタナ族の歌は、一時的とはいえ奴隷狩撃部隊を打破する潜在力を秘めている。
 ペリー・ローダンとアトランの前にあらわれたショズ人ロルケーテは、語る――あなたたちは〈守護者〉か?
 ロルケーテは、〈ジャモンディの星海〉をかつてモタナ族とともに統治したショズ人の最後のひとり。ロルケーテは、検査の結果、ふたりが〈守護者〉の素養を有するが〈守護者〉ではないと結論をだす。だが、モタナ集落がキブ・クラナーの侵攻に敗北し散りぢりになったとき、ロルケーテは逃走するふたりとモタナ族の娘ゼフィダに手を貸し〈海の賢者〉たちのもとに導く。〈海の賢者〉――遠距離テレポート能力をもつアザラシのような種族――たちは4人をつれ、惑星バイカル・ケインをあとにした。

Perry Rhodan-Heft 2202-2207


3 プラエトリア
PRAETORIA

 ペリー・ローダンの息子カンティランは、〈ジャモンディの星海〉への同行を拒まれたことを憤慨し、《レイフ・エーリクソン》を出奔。しかし、乗機がハイパー物理学的抵抗のため航行不能となり、アルコン帝国領ハヨク星団、恒星ハヨクをめぐる首星ハヨクに寄港したところを当局に捕獲される。
 ペリー・ローダンの旧友グッキーとイホ・トロトは、カンティランを連れもどすため、惑星ハヨクに向かった。

 〈ジャモンディの星海〉宙域の調査を進める自由テラナー連盟国防大臣レジナルド・ブルのもとに、報告が届く――ハイパー物理学的抵抗の増大のため、トラドム銀河とハヨク星団近傍をむすんできた〈星界の窓〉がついに機能を停止した。
 またもやハイパー繭から脱落し、実体化する惑星。だが、今回、実体化の衝撃で、居住するイタント人は全滅していた。もし、ペリー・ローダンがこの惑星にいたら、死を免れるすべはなかっただろう。
 レジナルド・ブルは、ふたりのミュータント、トリム・マラートとスタータック・シュレーダーを惑星ハヨクに派遣する――オールドタイマー遺跡を探索し、ハイパー繭の内側にいたりペリー・ローダンを支援・救出する唯一の手段、〈銀球〉を入手せよ。
 自由テラナー連盟が惑星ハヨクに展開しているTLD工作員部隊は、超知性体〈それ〉の使者ロト・ケレーテの足跡をたどり、オールドタイマー遺跡を発見。トリム・マラートとスタータック・シュレーダーは、オールドタイマー遺跡から転送機で恒星ハヨク内部の太古施設に到達。
 ふたりは知る――太古に設置された128のステーションが、恒星からエネルギーを汲み上げ、〈ジャモンディの星海〉のハイパー繭を維持してきた。それが、いま、ハイパー物理学的抵抗の増大により、ひとつ、またひとつ、脱落しようとしているのだ。

 アルコン帝国もまた、要衝ハヨク星団に注力する。
 アルコン帝国の重鎮クラシン提督の到着につづき、艦隊提督ヴィヴォ家のアスカリの旗艦《カーリボ》が到着。カンティランを追跡してきたアルコン帝国皇帝親衛隊員シャロワインの艦《レオタルド》も寄港する。
 アルコン帝国皇帝親衛隊クララセンとセリスタ――アルコン帝国の秘密警察〈ツ=ラ=セル〉の工作員――部隊による包囲網の中、TLD部隊はグッキーとイホ・トロトとともにカンティランを奪回したものの、多くの工作員を失い、苦境にたたされる。
 アルコン帝国皇帝ボスティク1世は、永年の大計画――要塞化したハヨク星団とサウスサイドの両面から自由テラナー連盟を一挙攻略――を、ついに実現に移そうとしていた。

 自由テラナー連盟の巡洋艦《パッカト》は、ハヨク星団の恒星H076の影にアルコン帝国新鋭戦艦グワロン級5000隻を探知。
 レジナルド・ブルは、惑星アルコンIのギャラクティカム議会場ミルカンドルから外務相ジュリアン・ティフラーをよびもどし背後を固める一方、ソル系から8711光年、ハヨク星団から1450光年の距離にある要塞惑星ルマルの艦隊基地にハヨク方面艦隊発進を命じた。
 ハヨク方面艦隊は、テラ艦艇2万6000隻、ポスビのフラグメント船5万隻からなる。中核は〈発見者〉特務艦隊、すなわち、サターン級――〈発見者〉級タイプII ――戦闘母艦1000隻と搭載巡洋艦各60隻、ポントン型艦隊付属工作艦250隻。周囲に展開するのは、オーディン型多目的艦1000隻、ヴェスタ級巡洋艦1万2000隻、ニュークライト型重巡洋戦艦――直径265m――2500隻。200m級プロトス型重巡2500隻。直径2500mのジュピター級新型ウルトラ戦艦など。フラグメント艦隊で目を引くのは、大型輸送艦――一辺3000mの立方体、クェーサー級フラグメント船を改装――750隻。
 レジナルド・ブルの指揮下に入った自由テラナー連盟ハヨク方面艦隊は、ハヨク星団の恒星H044唯一の惑星、コードネーム〈ブロック044〉を、電撃占拠。ポスビの大型輸送艦750隻を中心に、艦隊拠点を建設する。
 対して、ヴィヴォ家のアスカリが指揮するアルコン帝国艦隊は、新鋭戦艦グワロン級5000隻を中核に自由テラナー連盟艦隊を凌駕する艦艇数で恒星H044に進撃する。
 おりしも、ハイパー嵐〈カ・ペシュ〉――アルコン語で〈おそるべき暴動〉〈あらぶる狩り〉〈けだもの〉の意――がハヨク星団を直撃。ハイパー空間のエネルギー枯渇、シントロニクスの機能停止の中、両艦隊は泥沼の戦闘に突入する。自由テラナー連盟艦隊の主力兵器トランスフォーム砲は射程が伸びず、アルコン帝国新鋭戦艦グワロン級が近年装備した重インターヴァル砲が、テラナー連盟艦隊を圧倒する。
 レジナルド・ブルは、最後の切り札、極秘計画《プラエトリア》発動を命じた。
 戦場に突如出現した《プラエトリア》は、さしわたし21kmにおよぶ機動要塞――クェーサー級フラグメント船116隻が、ジュピター級ウルトラ戦艦を核として合体したもの。艦数相応の防御力と火力を有する《プラエトリア》は、敵陣の集中砲火をものともせず、グワロン級戦艦を次々と撃破。アルコン帝国艦隊は、多大の損害を被り恒星H044宙域を撤退する。同じころ、アルコン帝国艦隊基地のある惑星ハヨクも、ハイパー嵐〈カ・ペシュ〉到来により甚大な被害をうけていた。

 新銀河暦1331年11月、惑星ハヨクのTLD工作員拠点の在所が露呈。カンティランをつけねらうアルコン帝国皇帝親衛隊員シャロワインは、皇帝親衛隊クララセンと秘密警察〈ツ=ラ=セル〉の連合部隊でTLD拠点を包囲した。 だが、この事態はアルコン帝国にとって不本意な結果をもたらすことになる。
 TLD拠点危機の報をうけたレジナルド・ブルは、急遽、機動要塞《プラエトリア》と2万隻の艦隊を率いて惑星ハヨクを包囲。正面きっての戦闘を不利と判断したヴィヴォ家のアスカリは、やむをえず破格の条件で休戦を申し入れる。自由テラナー連盟は、一時的にとはいえ、ハヨク星団内の自由な航行と探索許可を勝ちとったのだ。

Perry Rhodan-Heft 2208-2211,2224-2227


4 ゴン・オルボンの夢
Der Traum von Gon-Orbhon

 新銀河暦1331年9月、自由テラナー連盟の首星テラの惨状は目を覆わんばかり。多発する転送機事故、不安定な超光速航行とハイパー通信、シントロニクスの機能不全だけでなく、ポジトロニクス換装工事をあらかた終えた月面脳ネーサンまでしばしば停止。エネルギー枯渇問題はさらに深刻で、テラニア市上空に定位していた太陽系政庁は地表に降下係留、太陽系防衛用クリスタル・バリアの展開はもはや不可能といわれた。銀河規模情報通信網〈ギャロルス〉も途絶し、自由テラナー連盟情報機関TLDの本部〈タワー〉は最新鋭の諜報設備が仇となりすでに満足に機能していない。政府には、高度技術業界からあふれた厖大な失業者を救済する有効な策もない。
 この窮状を憂えるUSOの財務担当ホーマー・G・アダムズは、惑星テラに帰郷。経済復興担当大臣に就任する。科学者マイルズ・カンターは、対策チームを編成。ハイパー物理学的抵抗の増大に対処するために結成した〈ワリンジャー・アカデミー〉に、所長マルコム・S・デーリアン以下、幾千人の優秀な人材が集う。

 危機に乗じ、惑星テラに新しい宗教が勃興する。
 教祖カーロシュ・イムバーロックは預言者として、終末神ゴン・オルボンによる高度文明の崩壊を信者に説く。
 ゴン・オルボン教団は、現世利益にもつながる――たとえば、集会に参加したシントロニクス技術者は、終末神ゴン・オルボンの夢からポジトロニクスの技能をさずかる――奇蹟の宗教として急速に拡大。やがて、狂信的信徒が高度技術の象徴である融合炉や計算脳に自爆テロを敢行するまでになる。自由テラナー連盟特務次官モンドラ・ダイアモンドと宇宙心理学者ブレ・ツィンガは、ゴン・オルボン教団の調査を開始した。だが、ブレ・ツィンガは教団にとりこまれ、教祖の周囲をかためる14人の助祭のひとりとなる。
 たびかさなるテロと教祖のかかわりを立証できないまま、教団は日々伸張し、首都テラニアの一角に本山である巨大なドーム〈減衰神殿〉を建設する。落成式の場で、教祖カーロシュ・イムバーロックは聖典〈ゴンの書〉を信者に開示。助祭ブレ・ツィンガは神兵を自称し、ついにはホーマー・G・アダムズの暗殺未遂におよぶ。
 新銀河暦1331年末、惑星テラの人類の多くが終末神ゴン・オルボンの聖夢をみるようになっていった。

 ハイパー物理学的抵抗の増大は、さらなる異変を招来する。
 惑星テラから500光年のパイプ星雲で、大規模な空間震動が観測される。ジュリアン・ティフラーは、発見者級戦艦《リチャード・バートン》でパイプ星雲を偵察し、ハイパー繭の存在を確認。ハイパー空間に隠れた星団をティンパニー星雲と命名する。
 恒星ソルにも、異変が生じていた。
 恒星ソルが、高次元領域で強い光輝を放ちはじめ、科学者マイルズ・カンターは、この6次元放射のパターンが〈最初のトレゴン〉にあった擬似コスモヌクレオチド〈メタヌ〉に酷似していることに気づく。〈メタヌ中心場〉の素材となったのは、超知性体カッバの骸。ならば、恒星ソルには、何があるのか?
 恒星ソルからマゼラン星雲の方向へ高次元のジェット流が伸びていく。あたかも、何者かが恒星ソルから高次エネルギーを抽出しているかのように。あるいは、何者かが恒星ソルの中の何かと言葉をかわしているかのように。
 惑星テラの随所に、褐色の肌をした未知のヒューマノイド種族があらわれていた。かれらは記憶もなく、まともな言葉も話せない。ただ共通して一語「ショハーク」という一語を除いて。
 自由テラナー連盟はこれら〈ショハーク人〉を保護し、科学者たちはその素性をさぐる。次々と見せた既知種族の映像で、唯一〈ショハーク人〉が興味を示したのはアルゴリアン種族――2200万年前、〈最初のトレゴン〉で超知性体トレゴンに助力し、わずか2個体が現存する技術者種族。科学者たちは推測する――〈ショハーク人〉は、恒星ソルに眠る太古の超知性体の具象化では?

Perry Rhodan-Heft 2212-2215,2220-2223


5 エファ・マトリックス
Die Epha-Matrix

 新銀河暦1331年11月、〈海の賢者〉たちのテレポートで惑星バイカル・ケインから惑星アシュ・イルトゥモに運ばれたペリー・ローダン、アトラン、モタナ族のゼフィダ、〈放浪者〉ロルケーテの4人は、現地のモタナ族と連合。モタナ族攻撃部隊の歌は、惑星アシュ・イルトゥモのキブ・クラナー駐留基地クリュトゥモを制圧した。
 かつて、モタナ族が〈ジャモンディの星海〉を統治していたころ、モタナ族は特異な力をもつ歌声で宇宙船さえ自在に操った。エファ・モタナとは、宇宙船を操るモタナの尊称。エファ・マトリックスとは、宇宙の背後にあってモタナ族の歌声に応える構造のこと――プシオン網だ、とペリー・ローダンは思う。

 ハイパー物理学的抵抗のため、キブ・クラナーたちの宇宙航行は日々困難なものとなりつつある。惑星バイカル・ケインのキブ・クラナーたちは、モタナ族から選りぬいたエファ・モタナ奴隷部隊を利用することを思い立ち、巡洋艦《シャラヴドラ》はその試験飛行として隣接星系アシュにおもむく。
 隣接星系アシュの惑星アシュ・イルトゥモで、現地モタナ族は到来したキブ・クラナー巡洋艦を奪取。ペリー・ローダン、アトラン、モタナ族のゼフィダ、〈放浪者〉ロルケーテらを乗員に加えた巡洋艦《シャラヴドラ》は、星系アシュのもうひとつの居住可能惑星ショズ、すなわちロルケーテの故郷惑星へ向かう。
 惑星ショズは荒廃していた。ショズ人の姿はなく、若干の施設と〈オールドタイマーの立像〉を残すのみ。一行は、かつてのショズ文明の中枢〈ショズの要塞〉で、ひとつの記録を発見する。それは、あの革命〈血の一夜〉を生きのびたショズ人の将軍が遺したもの。
 この地の暦で数千年前、星団を包むハイパー繭がまだなかった時代、アムリンガル――現在の大マゼラン星雲――の〈パーラクの砦〉に本拠をおくオルボン帝国が、アマンドゥル――現在の銀河系――に侵攻。尖兵キブがアマンドゥルを襲った。この危機に、〈守護者〉たちはショズ人とモタナ族を指揮し、アマンドゥル防衛のため戦った。
 戦いが永遠に続くかと思われたとき、戦場にホムンクと名のる異人が出現。戦争の終結を宣言した。ほどなく戦場を包むハイパー繭が発生。〈ジャモンディの星海〉はキブ、〈守護者〉たち、ショズ人とモタナ族のすべてを封印して閉じた。そして、外界から隔絶した〈ジャモンディの星海〉で、革命が勃発する。裏切り者の〈守護者〉がキブの手をかり、権力を奪取したのだ。
 〈ジャモンディの星海〉の時の流れは、外界より遅い。これらの出来事は、外界の暦でおよそ100万年ほど前のことだという。

 惑星アシュ・イルトゥモが、ハイパー繭のほころびから墜落して消えた。
 惑星ショズ探検中の一行は、機能する生体巡洋艦1隻を発見。生体巡洋艦はエファ・モタナであるゼフィダを艦長に選び、《剣》と命名された。
 星系アシュをあとにした生体巡洋艦《剣》は、 隣接星系の惑星バイカル・ケインで、超知性体〈それ〉の使者ロト・ケレーテの動かぬ機械の体を回収。一行は、つづいて「最後の自由なモタナ族の惑星」と呼ばれるトム・カーサイでモタナ族の蜂起をうながし、生体巡洋艦60隻の隠し場所の情報を入手する。
 このところ、ペリー・ローダンは夢をみる――以前も夢で出会った青肌の女性があらわれ、こう語りかけるのだ……わたしは〈霊歩哨〉……あなたは〈深淵の騎士〉?

Perry Rhodan-Heft 2216-2219,2228-2231


6 平和ドライバー
Die Friedensfahrer

 新銀河暦1332年初頭、ハイパー繭から脱落した惑星アシュ・イルトゥモの救援にあたる自由テラナー連盟艦隊は、モタナ族生存者の話からペリー・ローダンの消息を得る。科学者たちの調査により、〈ジャモンディの星海〉と外界の固有時間の差異も明らかになる。
 一方、ハヨク星団の惑星コルフュリアでは、トリム・マラートとスタータック・シュレーダーがオールドタイマー遺跡を探索していた。
 オールドタイマー遺跡で覚醒した太古種族クレマシュ人ゲムのアーゴは、自称「クエリオン人の〈永遠の従者〉」。アーゴは語る――スープラヘトが銀河系に爪あとを残し、ついでガルベッシュの軍勢が銀河系に侵攻した後の時代、銀河系に戦乱があった。このとき、超知性体〈それ〉はクエリオン人の一派に対し、戦乱に関わる者たちを戦場である星団ごと封じこめるよう依頼したのだ。

 ジュリアン・ティフラー指揮下の自由テラナー連盟の発見者級艦《リチャード・バートン》は、惑星テラからハヨク星団をめざす途上、救援を求めるアルゴリアン種族2名に遭遇し、貴重な示唆を得る――惑星テラに出現した〈ショハーク人〉は、2000万年前ごろ存在したポジティヴな超知性体アルケティムの補助種族。そして、銀河系とエランテルノーレ銀河から〈星のメールストローム〉までをむすぶ〈宇宙林道〉システムと、その運行をあずかる〈平和ドライバー〉たちが、今日も活動していること。アルゴリアンたちは、〈平和ドライバー〉のために大量のホワルゴニウムをテラナーからもらいうけると、姿を消した。
 ハヨク星団に到着したジュリアン・ティフラーは、レジナルド・ブルと情報交換をおこなう。なにより衝撃的だったのは、さきごろ首都テラニアで落成したばかりのゴン・オルボン教団本山〈漸衰神殿〉が、惑星アシュ・イルトゥモのキブ・クラナー基地クリュトゥモに酷似していること……。

 USOの旗艦《トラヤヌス》は、ロワ・ダントン指揮のもと、USO司令部キント・センターからハヨク星団をめざしていた。途上、《トラヤヌス》はアルコン帝国新鋭戦艦グワロン級3隻に追われる未知技術の宇宙船を発見。追跡の結果、デヴォルター第2惑星で、未知技術を操る〈平和ドライバー〉とアルゴリアンたちに出会う。デヴォルター第2惑星は〈宇宙停留所〉の在所であり、最後のアルゴリアン2名が種族再生の繁殖地と定めた地でもあった。
 〈平和ドライバー〉は、数百万の生命を救うためと言いおいて、〈宇宙停留所〉から〈宇宙林道〉をぬけエランテルノーレ銀河へ旅立つ。その技術の前には、ハイパー物理学的抵抗といえど何ほどのこともないようだった。
 ロワ・ダントンは認識する――いつか惑星テラの技術はハイパー物理学的抵抗を克服することができるだろう。人類の歴史は、まだ終わったわけではないのだ。

Perry Rhodan-Heft 2232-2239


エピローグ

 人々は太古の事件を想起する――200万年前、この宇宙と表裏の関係にある異宇宙アレズムからアインディ種族が侵攻し、ソル系の火星に門をひらこうとした。急行した深淵の騎士ペルマノチは、当時の火星の居住者シューワッシュ人を第3惑星に避難させ、M-3球状星団のポルライターに火星の門を封じる〈兵器〉の開発を依頼した。このとき、ポルライターの〈兵器〉を製造したのが、大マゼラン星雲にあったコスモクラートのファブリク《ゴンドラク》。ポルライターの〈兵器〉の実験場となったのが、M-13球状星団。 歴史は、三度これらの地を巻きこみ、動きだそうとしていた。

Perry Rhodan-Heft 2200-2239 Der Sternenozean


Sternenozean von Jamondi / ジャモンディの星海
――from Private Cosmos 23
2005/6/15 r.psytoh with y.wakabayashi
produced by rlmdi.