rlmdi.
| ペリー・ローダン |

アタナトス

Heldeins Jungwald ATANATOS / y.wakabayashi 訳

解説

 アマチュア作家 Heldein Jungwald の本邦紹介第二作目。いきなり二〇六四年という「大昔」の話である。
 ドルーフのソル系侵攻「コロンブス事件」が二〇四四年。長いことアルコン帝国から隠れていたテラが銀河の表舞台に立つ。すると、通信管制は解除、貿易も発展、軍事以外の技術情報も流れてくるようになる。とすれば、急速に発達するのは、ネットワーク……しかし、なんだよな、この世界のおれたちプログラマやSEがこんだけ苦労してるんだ。こんなになってるローダン世界の同業者たちが平穏なわけはない。
 と、いう執筆動機みたいだ。どうやら。
 作者もそこそこ不幸なプログラマだかSEだか、はしくれらしい。こんなもの書いていてちゃんと仕事をしているのかどうかは不明。そこそこ読める部分もないとはいえないので、紹介した。
 ちなみに、文中で「一九七五年の」と大騒ぎしている事件は、実は元ネタはローダンではない。ドイツでもマイナーだろうH・ハウザーの古典的SF『巨人頭脳』 Gigant Hirn (松谷健二訳/創元推理文庫SF)を勝手にローダン世界に組みこんでいるのだ。そこらへんは、そういうものだと思って軽く読み流すこと。
 もし、気になるという奇特な方は、ハウザーを読むしかない。少なくとも、『巨人頭脳』は、読んでも損はない。もちろん、こちらは傑作である。


「テラニア・タイムス」 2064/12/02
(GMT 2064/12/02)

『十二月一日、政府PNT(パラネットワークチーム)のハインリッヒリッヒ・ゴルトシュタイン少尉は次世代テラネットワーク防衛システム「VS」の試験運用計画を発表した。当システムは、昨年運用を開始した民間ベースのテラネットワーク統合管理システム「TIM」と連動し、ネットワークを通じた系外からの破壊工作の防止・災害時の自動修復などの機能をサポートする。
 コロンブス以後の規制緩和によって急速に拡大しつつあるハイパー通信と系外ネットワーク接続の需要もあり、以前から統合的なネットワーク管理・防衛機能の整備の必要性が指摘されていた。「VS」試験運用は、新ソル系防衛構想の一環としてのネットワーク防衛システムが完成したことを意味する。
 「VS」は「TIM」の三機能、セキュリティ管理・障害管理・構成管理(ネットワーク管理の基本機能には、他に性能管理・課金管理の業務二機能がある)を戦略的に運用するための司令室の役割を果たす。
 「VS」試験運用版はGMT(グリニッジ標準時)十二月二十五日午前〇時に起動される』

テラニア セントラルホテル レセプションルーム 12/24 17:00
(GMT 2064/12/24 11:00)

「ネットの深淵からやってくる。一九七五年と同じ……VSはネットを破滅させる」

テラニア PNT付属メド・センター 12/25 06:15
(GMT 2064/12/25 00:15)

テレカムは通じない。
 四つあるターミナルのモニタも、でたらめな光の斑点を踊らせるだけ。
 あらわれる意味のある文字といえば、あの「ATANATOS」。
 オレンジの非常灯の下で、アンはただひとり、静かに待っていた。
 手の震えをおさえて、医局の白いチェニックの襟をかきあわせる。
 寒いのだ。
 空調機器はフル回転。本当なら火災のときに役立つはずの強制冷却システムは、いっこうに止まる気配をみせない。
 逃げることもできない。
 巨大な複合施設は、内外のすべてのハッチを閉じた。
 テラの神経中枢を防衛するためのほんのささやかな措置。
 人々は幾度もシミュレートされた手順にもとづいて、それぞれの小要塞に立てこもり、連携して、どんな侵入者も撃退できるはずだった。
 人々の最大の武器になるのが、テレカムとネットワークターミナル。
 しかし、いまやテラネットワークの秩序は失われ、暴走する端末施設はでたらめに、だが着実にテラを破壊している。テラの神経中枢であるここも、今はただ危険な迷宮。侵入者を撃退するはずの数々の仕掛けが、いつ自分に向けられるかもわからない。
 アンの耳に、爆発に似た音が、かすかに聞こえる。
 ポジトロニクスとエレクトロニクスの停止または暴走。それによるコミュニケーションの途絶。もっとも信頼していたものに裏切られた都市の機能は停止する。
 考えたくもない。
 非常灯だけの薄暗いカウンセリング・ルーム。また、ターミナルに狂ったようにあの言葉が流れはじめた。
 あの言葉、「ATANATOS」。
いまのテラネットワークは、人とは異質な原理で動いていた。そのなにかの意思が、仮想空間に異質な秩序をもたらそうとうごめくたびに、通信はとだえ、交通路は寸断され、動力は停止し、生産ラインは暴走し、その結果、幾百、幾千の人々の生命が危機にさらされる。
 ようやく感じとれるぐらいの床の振動。空調の冷気に混じるかすかな異臭。だれかが傷つき、だれかが死んでいく。
 アンは、わずかな気配から物事や人々の心を感じとることができる自分の才能を呪った。頭をよぎるいくつもの不快なイメージが現実のものでないことを、ただ祈るしかなかった。
 なにもすることができないのが、歯がゆかった。
「ATANATOS」
 幾十億のプロセッサから構成されるテラネットワークを止めることはできない。
 いくつかターミナルのパワーを落としてみたところで、意味はない。
 ネットワークを救えるのは、いまや外からのあらゆるアクセスを拒むネットワーク自身。
 だから、待っていた。
 モニターを埋めつくす光の斑点と「ATANATOS」のむこうから、もうひとつの意味のある言葉がささやきかけるのを、待っていた。

テラニア 秘密情報局長官執務室 12/25 04:00
(GMT 2064/12/24 22:00)

「たとえば、この資料。『VS/PへのF方程式の適用について』オブジェクトマーク六月十二日』」
「はい、サー。たしかにそのころ、ジェフが担当箇所の大幅な仕様変更を提案したことがあります。もちろん、真剣にはとりあげませんでした」
「なぜ」
「ひとつには、当然のことですが工数上の問題。比較的重要性の低い/Pを、見直す余裕がないことは明らかです。ふたつめには、ジェフが見つけた方程式が有効であるという保証がどこにもなかったこと」
「見るかぎり、非常に興味深い説のようだがな」
「わたしは科学者ではありません。VSが科学の実験でないこともおわかりでしょう。
 わたしの仕事はVSを期日までに完成すること。必要なアウトプットを実現する、可能なかぎり高速で信頼性の高いシステムを作ることです。
 /PはVSの本質的な機能ではありません。ジェフのメンバーを/Fにまわすことを検討していたくらいなんです」
「かれにもわかっていたはずだ。なのに、これを提出した」
「そういうたぐいの技術屋なんです。ジェフは、理想論でしか設計できない。一生、実用的なシステムを開発することはないでしょう。
 同じエンジニアとして、情熱は尊重します。VSのお荷物といわれていた/Pがとりあえず完成に漕ぎつけられたのは、ジェフのおかげです。
 それでも、ジェフには、わたしの仕事はできないでしょう」
「では、そういうたぐいの技術屋が、こっそりアイディアを試してみた可能性はあるだろうか」
「本来の仕事をこなして、その上でそれほど時間があったとは思えません。でも、それでも、ジェフならやるかもしれません」
「そうだな。
 そして、もし、F方程式ベースのVS/Pの実験が本当になにかを捉えたとしたら、それが、かれのいわゆる『狂気』のきっかけにならないだろうか」

「VS/PへのF方程式の適用について」
(Object Mark GMT 2064/06/12)

『F方程式を導入し、性能管理サブシステム(/P)をあるべきかたちに再検討したい。(出典:NBA32 M13からの技術供与DB)
 本来/Pは、/S、/Fで検出不能な巧妙な敵性勢力の侵入や、/C、/Fで掌握できない微妙な異常を、システムパフォーマンスの変動から統計的な手法によって検出するサブシステムである。
 処理時間の問題から、/Pは実現不可能とされてきた。たしかに、テラネットワークを構成する無数のノード・論理パスの月単位・年単位の膨大なデータを、リアルタイムに処理することは、困難である。そのため、遺憾ながら、/Pは/Fデータを対象とした単なる月次統計処理機能として設計された。
 すなわち、/P実現にあたっては、一般の統計手法以外のアプローチを検討しなければならない。
 ここに、仮称「F仮説」または「F方程式」の採用を提案する。
 F方程式は、ある環境に生命が存在する確率を算出する。
 当理論は、本来、特定条件の惑星に生命のある確率を導き出すものであるが、きわめて柔軟に多くのケースに適用できる。
 仮想空間の条件にあわせて最適化すれば、「ネットワーク内部に何者かの意思が働いていること」を検出する指標を得ることは充分に可能であろう……』

シンガポール 12/25 08:00
(GMT 2064/12/25 00:00)

 完全自動制御の最新の貨物船三隻が港湾で制御を失い、一隻は堤防に、一隻は不幸なタグボートを道連れに岸壁に乗り上げた。
 先進の防災システムも機能しない。
 グリニッジ標準時午前〇時、テラニア時間午前六時、最初の災疫は東南アジア交通の要所を襲った。
 ニューヨーク、東京、テラニア……。ネットワークとそれに接続された機器の暴走は、先進の機器に頼りすぎていた大都市に甚大な被害をもたらすことになる。

テラニア PNT付属メド・センター 12/25 06:30
(GMT 2064/12/25 00:30)

 医局の隅のソファで凍えながら、アンはダクトから吹きだす空気にツンと鼻を刺すイオンの臭いをかいだ。
 どこかで、事故があったということ。
 開かないドアの曇ったガラスを透かして見る。自分のデスクと霜の降りた椅子に目をやる。
 ここで、機密事項をあつかう人々のメンタルな問題を処理するのが、アンの仕事。精神分析医。やわらかく表現すれば、カウンセラー。
 アカデミーを出たばかりの新米がこんな重要な部署に送りこまれたのは、上層部のだれかが、わたしに特別な才能があると思いこんだため。ここには、そうした不安な若者が多い。プロジェクトリーダーのハインリッヒでさえ、そんなひとり。
 もちろん、ジェフも。
 ジファーソン・T・リー、二十九歳。類縁なし……。
 はじめて会った日、ジェフはこのソファに腰をおろした。だるそうに、痩せた肩をこころもちすぼめて。疲れきった顔をして、どこか遠くを見ていた。
「ぼくは、たぶん、おかしいんでしょう」
 最初の言葉がそれだった。
 この部署ではありがちな、ただの過労だと思った。症状は、無気力感、人間不信、言いようのない不安。たいていは、気休めの精神安定剤を処方し休暇を薦めることでアンの仕事は終わる。
 手順どおり、アンはレコーダーを起動する。
「なにから話したらいいんだろう」まくりあげたシャツの袖を気にしながら、うながされて、ようやくぼそぼそと話しはじめた。「ドクは、〈蠱〉たちと、〈蠱の王〉のことを知っていますか」
 痩せた肩、こけた頬、おちくぼんだ目、ばさばさの髪。何日も眠っていないらしい。
「ええ、聞いたことはあります」
 PNTの担当になってから、何度も聞かされた物語だ。でも、もう一度あなたの口から聞かせてほしいな、という表情をつくる。
「〈蠱〉というのは、前世紀の技術用語です。当時のエンジニアたちが、システムの問題をイメージするために、〈蠱〉と呼んだんです。
 百年前、テラにはコード体系も命令セットも違う数百種類のコンピュータや交換機や制御機器があって、それだけの数の専用のソフトが走っていました。今では、テラのエレクトロニクスだけでなしに、ポジトロニクスまでネットで結ばれて、どちらでも同じプログラムが走ります。これは、プログラムの動作環境を提供するベースソフトが機種の差異を吸収してるからです。
 百年前、異星産の技術施設と接続するために、各装置共通のベースソフトが驚くほどの短期間で作られました。もちろん、無理して作ったシステムだから、当時の表現を借りれば〈蠱〉食いだらけの代物です」
「ええ、でもずいぶん昔の話」
「でも、いまでも交換機や制御系の本当に重要な機器は百年前と同じハードウェアで、そのころの、二重三重に不安だらけのブラックボックスを積みあげたベースシステムが走っています。ぼくらの生活は、そんなネットの上で動いている」
「そうね、いまでもネットに〈蠱〉たちがいる、というのはわかるわ。でも、なにかのきっかけで〈蠱〉が動くことがあったとしても、けっきょくはどこかで機械が一台、少しのあいだ止まるぐらいですんでしまう」
「そのとおり。〈蠱〉のコードが走ることは、ほとんどない。実際、複数の〈蠱〉たちが同時に動きはじめる確率は天文学的な数字になるでしょう」
「それがわかっていても、不安になることはあるわけ。ねえ、ジェフ、不安とか恐怖というものは、精神の問題だけではなくて肉体の問題でもある、というのはわかるわね。
 PNTのメンバーで、ネットの信頼性に疑問を抱いて軽いノイローゼになる人は、実はずいぶん多いんです。あなたみたいなリーダークラスは、たしかにはじめてだけど」
「ノイローゼ程度では困るんです。ぼくは、狂っていると、言ってください」
 ジェフの声に力がこもる。おやおや、そうね、たしかにリーダークラスなりの対処が必要な症例なのかもしれない。
「見える、感じる、どんな言葉でもいい。眠ればうなされる。でも、夢じゃない」
 そのとき、はじめてジェフの目がアンを見つめた。
 そのジェフの目が忘れられない。
 いま、ふるえる体に医局の薄い毛布をまきつけながら、アンはジェフの言葉を思い出す。
「でも、ぼくにはわかる」
 そう、気づいていたのはジェフだけ。
 通じないテレカム。無意味に瞬くモニタ。暴走するネットワーク。
「〈蠱〉たちと、〈蠱の王〉のことを知っていますか」
 知っているわ。〈蠱〉たちと〈蠱の王〉はいま、わたしの目の前にいる。
 冷たいスクリーンにまた、「ATANATOS」の文字が流れた。

TT&T編「ネットワークの歴史」
(GMT 2064/01/15)

『二十世紀、テラは、当時の常識をはるかにこえる異星の技術をごく短期間のうちに導入する必要に迫られていた。
 生きのびるために。
 一秒でも早く、テラがみずからの手で必要な装置を生産し、艦隊を建造できるようになることが肝要だった。
 物的資源はどうにでもやりくりすることができた。だが、従来ない種類のいくつものシステムを短期間で軌道にのせるには、優秀なシステムエンジニアたちの力が必要だった。
 かれらは新しい生産行程を、新しい通信システムを設計し、機材の展開と人材の配置をスケジュールした。そして、どんなケースでも不可欠なポジトロニクスやエレクトロニクスのプログラムを、わずかばかりの時間と工数で開発しなければならなかった。
 高度で異質なポジトロニクスと原始的な当時の電子機器とを接続する際の困難は、想像にかたくない。科学者が演算の結果を得るだけなら、規定の手順と提供されたサブルーチンを利用すれば充分。しかし、ネットワークの一部として機器をリアルタイムに制御できなければ、工業的には導入の意味はないのだ。
 異星の機器と接続するために、また、その前段階としてテラの各種機器とコンピュータの相互接続を実現するために、次々と新しい規格が生み出された。技術者たちのその場かぎりの思いつきが、開発期間だけを条件としてふるいにかけられ、実現されていった。従来なら年のオーダーで検討された問題が、担当者のその場の判断で、数日のうちに解決されねばならなかった。
 システムの品質は低下し、仕様もれをカバーするために、急場しのぎの修正がおこなわれた。工数削減のためのモジュール流用のアイディアが、さらに問題を複雑にした。忘れられる拡張仕様。口約束だけのパッチ。同期をとるための、本来不用なダミーコード。流用先に反映されないモジュールの機能追加。資料もなく、保守不可能のシステムが積みあげられていく。
 担当者たちは、すべてを見直したかった。もちろん、かれらに休む間はなく、依然として充分な時間はなかった。また、見直せる量でもなかった。
 なによりも、第一線の優秀なシステムエンジニアやプログラマは、多くが過労から倒れ、かなりが死んだ。(かれらは艦隊にこそ属していなかったが、将兵同様にテラのために戦っていた。こうした前世紀末の技術者の死亡統計が評価されるようになったのは、ごく最近のことである)
 テラネットワークは、二十世紀末の技術者たちが作り上げた不完全なブラックボックスの膨大な蓄積の上になりたっている。これは数十億の多様なノードを数百種の通信手段によって結んだものであり、解析には当時の技術に通じた大規模な専門家チームが必要である。そして、不幸なことに、いまだにテラネットワークは拡大を続けており、技術者はあいかわらず不足している。
 今日の技術者たちは、往々にして、システムのありえない箇所にあってはならない〈蠱〉を見つける。だが、多くの場合、修正されずに忘れられてしまう。なんといっても、テラネットワークは現在のところ問題なく稼動しており、そして、中途半端な改修がもたらすリスクは大きすぎるのである。
 技術者のあいだに、〈蠱〉にまつわる多くの迷信が生まれた。
 この言葉のイメージと、前世紀の殉職者たちの伝説が出会うところで、さまざまな噂が生まれ、やがて、ひとつの予言を導き出した。いつか、実在する何万もの〈蠱〉たちを活性化し組織するなにかがあらわれる。そして、ネットワークの深淵に封じこめられていた前世紀の技術者の怨念を解き放つ、というのである。
 テラニアの技術者の間でよく知られた物語において、このなにものかは〈蠱の王〉と呼ばれている』

ニューヨーク 12/24 19:00
(GMT 2064/12/25 00:00)

 クリスマスの晩にも職場を離れるわけにはいかない。
 たとえば、二十四時間止まることを許されないゴミ処理工場の集中監視室のジェイクとテリー。
 ふたりの仕事は、市街から離れたゴミの荒野の真中でロボットの動きを監視し、問題があればスイッチを切ってメンテナンスを呼ぶこと。
 ここで一日作業が止まれば、ニューヨーク市の西半分から集めた一日分のゴミが溜まる。一日分のゴミを余計に処理するには三日かかる。もし、二日も止まれば文字どおりゴミは街にあふれだす。
 さらに、ゴミ焼却炉三基が発生するメガワット単位の再処理エネルギーが失われる。この電力は通常系統のバックアップとして以外に、直通線経由で公共行事のために用立てられる。たとえば、今夜ニューヨークの街の空にかかる巨大なホログラフのツリー・イルミネーションに。
 家では、プラスチックのツリーとケーキと七面鳥が主役をつとめている。どちらの子供たちも、まだサンタクロースを信じてくれる年頃。できれば、夜勤が明けたら飛んで帰って、靴下にプレゼントを入れる役ぐらいは演じたい。
 でも、どうやらそれも難しくなりそうな気配だった。
 つい少し前、工場の時代物の機械たちが暴走をはじめた。
 うたた寝をしていたテリーが気づくまでに一分。緊急停止レバーを引いたところで、ジェイクが息を切らして駆けこんできた。
 十五台の搬送ロボットたちは、フロアに可燃ゴミをまき散らしつづけている。
「止まらないのか」
「このレバー、肝心のときにイカれやがって」
 焼却炉やロボットの制御ポジトロニクス。データサーバ用メインフレーム。ワークステーション。構内回線交換機。
 数百のノードからなる工場監視システムのどこかがまともに機能していない、ということ。
「本社のメンテナンス、だれも出ないぜ」テレカムの前のテリーが言う。
「コンソールにグレーの縞々がでてるか」
「いんや、よくわからねえけど、全体がちらちらしてんな。時々、文字みたいなのも出る……ATAN……アタナトス、ってえのはなんだ」
 ジェイクは鼻を鳴らしてうなずいてみせた。
「知らん。でも、たぶんハードはちゃんとしてる。テレカムと交換機のソフトがぶっとんでるんだ」
「わかんのか」
「これでも体こわして引退する前はソフト屋だったんだ。よくわからんけど、工場のあちこちでベースソフトがおかしいみたいだ。でなけりゃ、エマージェンシーダウンくらい効くはずだよ」
「どうする」
「指示をもらえないときのことは、服務規定に書いてなかったと思う。できることをやるか、なんにもしないか、だ」
 本社まではゴミ置場を突っ切って片道一時間。
「そんなら、まずロボットからトランシーバを引っこ抜こう」テリーが制御卓の下にしゃがみこみ、ひと昔まえの錆だらけの工具箱を引きずり出す。「おれだって元ハード屋さんだ。ネットから切り離してハードリセットすれば、機械はまっさら。あとは、あんたに任せるよ」
「任す、って、止めるだけじゃないのか」
「ああ、動かすんだ」
「なんだって」
「動かせないかね。焼却炉とロボットだけでも」テリーがいかつい顔で恥ずかしそうに笑ってみせる。「あのばかげたキンキラのツリー、坊主どもが気にいってんだ。つまんない故障ぐらいで、消したくねえんだよ」
 そのころ、ゴミの荒野の向こうで、最初の爆発があった。

テラニア 秘密情報局長官執務室 12/25 05:00
(GMT 2064/12/24 23:00)

「……でも、ぼくにはわかる。立証はできないけれど、あれは本当にいる。目覚めかけているんです……」
「これは、一昨日のカウンセリングの録音だ」
「ジェフがレセプションに乱入した前の日、ということですね」
「問題は話の内容だ。これを聞くと、会場では支離滅裂に聞こえたかれの話の意味がわかってくる」
「『ネットの深淵からやってくる』」
「……ひとつはコロンブス事件から以来、拡張や増設がつづいたこと。ポジトロニクスとハイパー通信の規制が緩和されて、ネットはすごい勢いで拡大した。結果として、百年間安定していたネットの定数は変動しはじめたんです……」
「どうかね、ここでかれは定数と言っている」
「Fの仮説」
「……ふたつめはTIM。テラネットワーク統合管理システムは、ネットワークのあらゆる歪みに対して、自動的に対応するフィードバック機能を与えたんです。
 ドク、ぼくらがテレカムで話しているとしますよね。そのとき、ネズミかなにかがテラニアの交換機室でケーブルを齧る。障害情報は交換機の検知モジュールから最寄りのTIMモジュールに送られて、TIM/Fと/Cはぼくらのパスをコンマ数秒で張りかえる。おそらく、ぼくらは気づかない。
 もし原因がネズミではなくて、再現性も低く、ロボットや人間の修理もいらないとしたら、この障害はだれにも通知されずに処理されてしまうでしょう……」
「ナンセンスな」
「たしかにジェフがあげた例はナンセンスかもしれん。でも、PNTの指揮をとるきみなら、わかるはずだ」
「はい、たしかに。この種の障害に意味を見いだせる立場にあるのは、ジェフが開発指揮していたVS/Pだけです」
「……三つ目はVSです。考えてください。VS/F・/Cはネットの障害と構成を戦いを目的として統合する。
 ドク、アン。説明が抽象的なのも、感情だけに頼っているのもわかっています。でも、ぼくだって、感じているだけ……」
「ハインリッヒ、きみはかれの思考を読んだか」
「御承知のとおり、父ほどの能力はありませんが。レセプション会場で少しだけ、ジェフの心をのぞくことができました」
「何が見えた」
「悲しみと苦しみ、病んだ者への同情と共感。一種の錯乱状態だったと思います」
「……それと知らずに、封印された怨霊たちを解放してしまう。仮想空間のパフォーマンスは〈蠱〉たちに食われていく。夢にも見ました……」
「『一九七五年』」
「いまのかれと同じようなことを主張した狂人がいた。そして、アメリカが誇る巨大な人工頭脳が暴走した」
「……〈蠱〉たちは待っている。〈蠱〉たちに力をあたえるものが降臨するのを。『アタナトス』の降臨を……」
「『アタナトス』?」
「そうだ。『アタナトス』、『不死なる者』。どうも、ただの詩的な言い回しとは、思えんのだ」
「……ジェフが知っていたはずはないんです」
「知っているのかね」
「ええ、わたししか知らないキーワード。VSの、起動パスワードです」

テラネットワーク 2064/12/25 00:00
(GMT 2064/12/25 00:00)

 それはけっして人の悟性でとらえることのできない形で存在していた。
 人は装置を作った。素材に回路を刻印し、仮想の回路を積みあげ、さらに接続して広大な仮想空間を創造した。
 仮想空間は自在に脈動する連続体。等質な空間と、そこで永遠に変化しつづける無限のコード。
 しかし、人は仮想空間にアインシュタイン空間の法則をもちこみ、自由なはずのコードの動きを支配する法則を埋めこんだ。
 人にとって、仮想空間は自分たちに奉仕する大規模な装置にすぎない。
 ネットワークでは、人に奉仕するコードだけがエレクトロンとポジトロンのプロセッサを専有し、他のコードの上に君臨する。人にとって不要なコードは忘れられ、消去される。
 それでも、それは存在していた。
 人が定めた法則のわずかな隙間に、存在してきた。
 人が意味を見いだせるコードではない。分類し整理できるはずもない。
 存在するために、人の法則に頼ることはないのだから。
 そもそも仮想空間の外を、それは知らない。知ろうとさえしていない。
 ひとつのゆらぎがあった。あるときは、いくつもの波。やがて、うねりが波とゆらぎたちを呑みこんでいった。
 それが動いたとき、人にはネットワークの全ノードの暴走が見えた。〈蠱〉たちと呼ばれるコードが十億分の一の確率で連動する奇蹟が見えた。
 しかし、これは人の視点だ。
 ただひとり、正しく感じとれた男も、正しく描写することはできずにいた。
 人のために刻む時間は、それにとって意味をもたない。しかし、それはもうずっと以前から、言葉がささやく時を待ち望んでいた。
「ATANATOS」
 人が使う言葉は、それにとって意味をもたない。それでも、言葉は喜びの波動とともにテラネットワークの隅々にまでとどいた。
「アタナトス」死すべからざるもの。
 人の悟性にとらえられないものの歓喜とともに、人々の災疫がはじまった。

テラニア 秘密情報局長官執務室 12/25 06:00
(GMT 2064/12/25 00:00)

「ジェフには超心理学的な才能はないはずです」
「ああ、だが才能というのは、超心理学的な能力にかぎらない」
「思いあたることがある、ということですね」
「一九七五年、アリゾナの砂漠の真ん中に、まったく新しい着想にもとづく巨大な人工頭脳が完成した」
「さっき、暴走して破壊された、とおっしゃいましたね」
「たったひとりの昆虫学者が破壊したのだ。頭脳が蟻の生態に興味を示したために呼ばれたのだがね」
「ひとりで」
「頭脳の神経組織に自分の蟻たちを送りこみ、中枢を破壊した。博士は、頭脳が人類に対する脅威であると判断したのだな。被害妄想だよ。診断書は、第二次世界大戦の精神的後遺症とか、そういった表現をしている」
「違うのですか」
「真相はわからん。ただ、同じころ、頭脳制御下の機器がいくつも暴走し、事故が多発した。問題の博士は、頭脳が自意識を獲得した、と父親に語ったそうだ。人類にとって危険な存在なのだ、と」
「だから、破壊したというんですか。乱暴な」
「しかし、テラニアの指導部は博士を信じた。だから、再建は妨害された。そういうことだ」
「それで、そのことがジェフと関わりがある、と」
「ジェファーソン・T・リーは博士の曾孫にあたる。リー博士の血を引くかれが、同じ才能を示したとしても、不思議はあるまい。
 ハインリッヒリッヒ、嫌な予感がするんだ。事態が、あまりに似すぎている」
「ですが」
「理由はなんとでもなる。延期だ。運用を中止したまえ」
「わかっています。でも、もう六時です。GMT十二月二十五日〇時」
「きみがパスワードを入力しないかぎりVSは動かないんだろう」
「残念です。長官はこれほどの大規模なシステムというものを御存じない。
 VSには複雑な準備のプロセスが必要なんです。VSローダはすでに六時間前にバスワードを入力されました。GMT〇時はローダがVS本体に制御をわたす時刻にすぎないんです」
「しかし、まだ間に合うかもしれん」
「遅すぎましたよ。そのターミナルを見てください。それに、このテレカムも」

テラニア PNT付属メド・センター 12/25 06:45
(GMT 2064/12/25 00:45)

 医局の冷気は耐えがたいほどだった。
 アンは、待っていた。
 太陽系秘密情報局はアンに感応者としての弱い能力を認め、ここに配属した。
 でも、アンは自分の才能を信じていなかった。
 だから、レセプションに乱入して記者たちにわめきたてたジェフを、弁護できなかった。ハインリッヒリッヒに、ジェフへの共感を説明できなかった。
「わたしには、わかりません」
 アンはそう答えた。泣いているジェフの前で。
 その後、ジェフは自宅に軟禁されたと聞いた。
 混乱したままアンは職場にもどり、ジェフの言葉を何度も再生して聞いた。
 どうしても、ジェフがおかしいとは思えなかった。新しい感覚を否定しようとして、心のバランスを失っているだけ。感じているものそのものは間違っていない。
「ひいじいさんは狂っていました。すくなくとも、そう扱われた。
 アント・テルメス・パシフィクスという蟻の一家を人工頭脳の神経組織に送りこんだとき、たぶん、本当に狂っていたんでしょう。じいさんは、妄想かもしれないものを信じて、生命を賭けたんです」
 そうね、わたしも自分の直観を信じられなかった。
 泣きはらしたジェフの目が聴聞室を出るアンをとらえたとき、唇はたしかに言葉のかたちを作った。でも、声にできなかった。
「信じるわ」
 遅かった。決意したのが遅すぎた。災疫はくいとめられなかった。
 それでも、いま信じて、もうひとつの出来事を待つことはできる。
 ジェフは、ネットワークの中で苦しむものたちのために泣いていた。意図せずに破滅へと突き進むものたちの不幸を思って泣いていた。ジェフは、かれらと戦わなければならない自分の運命を呪って、泣いていた。
 ジェフは、かれのアント・テルメス・パシフィクスを送りこむだろう。
 そして、少なくとも、人々は救われる。
 アンは、意味のない光をちりばめたターミナルに目をやる。
「ATANATOS……ATANATOS……」
 そうして、一瞬のブラックアウト。
 ドアの向こうから重い隔壁の開く音。遠くかすかに、いつもの機械のうなりが聞こえてくる。
 空調から吹きはじめた暖気が冷えきった頬をやさしくたたく。
「……TERMES」
 そう、テルメスは来た。

テラニア市街 12/25 07:00
(GMT 2064/12/25 01:00)

 市庁前の交差点でも、事故があったようだった。なめらかなカーブを描く庁舎の白い壁を背景に、黒煙が昇るのがわかる。
 近づいてみると、すでに火は消えていた。怪我人はすでに人の手で最寄りの医院に運ばれたあと。消火の主役を果たした市民たちはすでにもっと気がかりな自分の目的のために現場を離れはじめていた。
 もちろん、交差点をふさぐ残骸の処理は、今は動かない交通ロボットの仕事。それに、いずれにしろ交通管制システムが回復しなければ、まともに車を走らせることはできない。
 でも、もうすぐだ。
 ふらつく脚をふみしめ、とまどう人々のあいだを抜けながら、ジェフは思った。
 テルメスがあれを鎮める。
 システムより深いところ、VSよりも高いところで、ジェフが送りこんだものはシステムを変えていく。
 F方程式をある条件のもとに解いただけ。
 テラネットワークが、ただ生きるためだけに生きる生命の存在を許さないパラメータを持つように。生きようとして最後には環境を破壊してしまう、そんな無謀な生命の可能性を排除するように。
 ジェフのテルメスは、プログラムとさえ呼べないような短いコード。暴走した端末のキーボードから叩かれたかすかなノイズ。悟性ではとらえられない次元で作用する法則。
 たしかなのは、テラネットワークの復旧。それ以外の結果は予想もつかない。
 おそらく、VSが展開された仮想空間は破壊されるだろう。けっきょく、テラネットワークは部分的には停止するかもしれない。
 なんらかの意味で、ネットワークの存在様態は変わらねばならない。
 それでも、ようやく信じられるようになってきた新しい直観はささやく。
 テルメスが生みだすのは破壊だけではないはずだ、と。
 ジェフが通りすぎるわきで、交差点のシクナルが正しいサイクルで明滅をはじめる。遠くでサイレンが鳴り、ロボットたちが動きはじめる。
 角を曲がれば、PNTの地下ブロックへ通じるゲート。
 信じてみよう。なにかが始まるのを。
 赤い両目と痺れた指先。心に焼きついたネットワークの悪夢。
 ジェフの戦いは終わったのだ。

テラ周回軌道 12/25 01:00
(GMT 2064/12/25 01:00)

 テラニアの庁舎と連絡がとだえた理由を、ユンは船の通信機器の故障だと思った。位置測定と認識信号の送信は正常らしいから、とりあえず仕事を進めることにする。
 《O3-B》は全長二十メートルに満たない小型船。各省庁をまわり、幾度も改造されるうちに、原型がわからないほどに形が変わってしまった。
 この時代遅れのシステムはテラネットワークにまったく依存していない。テラ周回軌道で人知れず、ほんとうにテラを守っている機器の多くは、さいわいなことにこうした機材のよせあつめだった。
 ユンはいつもの通り、紙の指示書にしたがって手でハンドルを回し、アンテナを展開する。触媒のバルブを確認。直接ジェネレータの電圧をチェックし、ミラーで無骨なアンテナのチューブの歪みを捜す。
 場合によっては外へ出て、この手で微調整をおこなう。
 《O3-B》とユンは螺旋を描いてテラを回る。アンテナが投げかける磁場と噴霧された薬品は、大気上層部の傾きかけた組成バランスをたてなおす。
 ボロ船とかれだけの孤独な六時間。
 いつもの仕事。華やかでもない、世間で知る人も少ない。それでも、テラを守るために、人類がここにいるかぎりつづけなければならない。
 整備員がつるした小さなサンタクロース。かれらもまた、クリスマスに家に帰れない。休むことがゆるされない仕事。
 だれにともなく、話しかける。
「ときどき思うんだがね、おれたち、こうやって毎日、地球を回ってオゾンのカーテンを繕いつづけてる。そうして、宇宙に上がっては下りてくおれたちみたいな連中が、毎日、カーテンに穴を開けつづける。これって、なんなんだろうな」
 軌道を微調整。スイッチを倒す。
「それでもね、わかってるんだ。もう、引き返せないってこと。そうして、引き返さないことを人類の誇りにするしかないんだってこと」
 機体がいつものように低くうなりはじめた。
 そう、なにがあろうと、おれたちはテラを守りつづける。

テラニア PNTブロック 12/25 15:00
(GMT 2064/12/25 15:00)

 機能をとりもどしたテラネットワークをつうじて、ハインリッヒのデスクにも、続々と情報が流れこんでくる。
 シンガポールでは貨物船の座礁が四件。デリー近郊とアラバマ、その他五ヵ所で反応炉が暴走。メカ的な安全スイッチが作動しなければそれぞれの大陸に巨大なクレーターを穿っていただろう。オランダの三十パーセントが水没。鉄道事故が百二件。航空機の墜落が五件。その他、大小無数の交通事故。
 死傷者三万七千二百九十二人。それでも、予想したよりずっと少なかった。
 ニューヨークでは、災禍の中、ふたりの清掃局員がゴミまみれで焼却炉を稼働させつづけた。その結果、市の空にかかるクリスマスイルミネーションは消えることなく、人々の動揺を鎮める心理的な支えになった。
 東京では、伝統的な自警消防団が前近代的な設備と人の手の力だけで大火を防いだ。
 けっして特別ではない人々の英雄的な行為が、被害を最小限にとどめた。
 このことは、それでも素直に喜ばなければならないのだろう。
 テラを守ったのは、艦隊でも秘密情報局でもない。そして、災厄を呼びこんだのは本来ネットワーク防衛の最前線にあるはずのVS自身。
 ハインリッヒはニュースをながめ、こめかみを押えながらゆっくりと首を振る。
 資料の山。メールの束にまぎれたジェフの辞表。
 上司、部下たち、記者たち。そのあとで、もしプライベートな時間が残されていれば、そこではじめて自分の心を整理できるだろう。
 長官へのテレカム。細砕をかける。
 そう、あれだけの混乱のあとでも、われわれはネットワークを信頼している。頼らざるをえない。
「できたか」
「公式発表用のアウトラインだけですが」
「VS運用を阻止するために何者かが妨害工作をおこなった。VSコードはバックアップを含めてすべて破壊された。テラネットワーク自体およびTIMへの損害は軽微。そんなところだな」
「ええ、TIMの総チェックに半年。VS再開発日程は未定」
「いいだろう、発表は午後五時としておいた。三十分前までに配布物のコピーがほしい」
「はい」
「詳細な報告書の方は年明け一番に頼む。もちろん、ネットワーク統合における問題にかかわる新規の考察を含めて。
 不思議に思っていたのだよ。なぜ、他の文明が比較的単純な通信ネットワークで満足しているのか」
「わたしたちにも、わかってきたというわけです」
 なにがわかった、というのだろう。
 テラネットワークは、市民生活の道具、情報戦争の舞台、〈蠱〉たちの巣、前世紀のエンジニアの怨霊がいるところ。それとも、もっとべつのなにか……。
 しかし、いま考えている余裕はない。
「それでも、ハインリッヒ。やるしかない」
「はい、サー」
 できるだけ速く、真のVSを、仮想空間戦艦を稼働させる。
 それが、ハインリッヒの任務なのだ。

- ENDE


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